
ビジネス、個人を問わず、毎日翻訳が必要となる状況に置かれている方はほとんどいません。
そのため、世界中で発生している翻訳業務の大部分は、外部の翻訳会社やクラウドソーシングの登録翻訳者に依頼することになります。
ここで問題となるのは、翻訳者の選定です。
大手翻訳会社に依頼すれば安心、と思われる方もいることでしょう。しかし、翻訳の場合は大手なら良いというわけではありません。その理由を以下で説明します。
理由1: 翻訳者の質
翻訳会社は、基本的に翻訳者を「雇用」しません。代わりに、フリーランスの翻訳者を多数プールして翻訳者のwaiting listを作成します。実際に仕事を発注しているかどうかにかかわらず、数千人を超える翻訳者を登録している会社もあります。
一方、フリーランス翻訳者の多くは複数の会社に登録しているため、常に仕事がある翻訳者ほど急な依頼に対応できません。ここで何が起きるかというと、巨大なプールの中で、時間に余裕がある(=仕事がない)翻訳者が仕事を受注しやすくなる可能性が高まるわけです。
また、翻訳業界では、腕の良い翻訳者ほど自分で事務所を開いたり、特定の取引先から直接長期的に受注したりする傾向があるので、大手翻訳会社に依頼すれば安心、というわけではありません。
ただ、プロジェクトの規模が非常に大きい場合は、数千人規模で翻訳者をプールしている大手の方が、確実にプロジェクトを完了できるはずです。
理由2: フリーランス同士の抗争
翻訳会社が抱える翻訳者のプールが大き過ぎると、密集したプール内でポジション巡りの抗争が発生しやすくなります。登録翻訳者の全員がフリーランスなので、皆がジョブ獲得に必死なわけです。
そのため、チェック体制を設けている翻訳会社では、フリーランス翻訳者同士の足の引っ張り合いが発生しやすくなります。
フリーランス翻訳者にとって翻訳会社は雇用主ではないので、彼(女)らに事業を共に育てるという忠誠心のような意識はほとんどありません。筆者自身の経験を振り返ると、フリーランスの翻訳チェッカーの一部は、チームで協力して良い翻訳を仕上げる、というよりも、一次翻訳を手掛けた翻訳者の訳をとことん批判することに情熱を注いでいるように思われます。ひどいケースだと、チェッカーによる無駄な書き換えが入り、訳文の整合性が失われる事態に至ったと記憶しています。
チェッカーが翻訳者を批判すると、社内翻訳者によるレビューに進む場合が多いのですが、社内翻訳者の多くは翻訳に特化したスタッフではなく、外国語が得意なサポート(アシスタント)社員という立場であることが多いため、事態がさらに複雑化することがしばしばあります。
理由3: コスト
会社の規模が大きくなると、オフィスのリースや人件費が膨らみます。これらの支出が増えれば増えるほど、翻訳の依頼人が支払う料金も高くなります。
つまり、高い料金を払っているから高品質の翻訳が期待できるというわけではない、ということになります。もちろん、格安翻訳サービスで高品質な翻訳を期待するのは非現実的です。レベルの高い翻訳者が格安サービスを提供することはまずない、と考えて間違いありません。
専門性の高い翻訳は必然的に料金が高くなりますが、料金と翻訳者のレベルに明確な相関がないことが、翻訳を依頼する相手を選ぶ際に留意すべきポイントです。
Lead Translator自身が立ち上げた少数精鋭のMAZ Translationでは、大量のプロジェクトをこなすことによる収益増は目指しておらず、信頼をお寄せいただくお客様と長期的な関係を構築することに尽力しています。
また、互いに顔の見えない翻訳者とチェッカーの間にプロジェクトマネージャーが入るという形態は採用していません。代わりに、Lead Translator自身が信頼を置くチェッカーだけにチェック作業を直接依頼し、Lead Translatorとチェッカーが直接コミュニケーションを取れる環境を整えています。
また、チェッカーにはオーストラリアの大学で学士号を取得できる水準の英語が書けるネイティブスピーカーしか登用していません。英語ネイティブなら誰でもOK、というわけではなく、高等教育を修了できるだけの論理的な文章をかける人物にだけ、お客様に納品する大切な英文のチェックを依頼しています。