前回に引き続き、英語メールの書き出しに関する注意点を説明します。
ビジネスメールはお喋りではないので、distractionの原因となる無駄な言葉を入れず、用件に集中しましょう。文字を詰め込み過ぎると、話の論点がぼやけます。
とはいえ、単刀直入になりすぎないよう配慮する必要もあります。必要事項のみだけが記された文章は、AIやソフトウェアで自動生成した文章のようになってしまい、読み手の中には違和感を覚える人がいるはずです。
英語圏ではAIが生成したニュース記事やブログ投稿を頻繁に見かけるようになりました。AI-generated contentは確かに自然な英語で綺麗な文章です。しかし、人間なら絶対に書かない的外れな部分が各所にあり、違和感があります。
以下のようなメッセージは距離を置きたい相手には適切ですが、事務的で冷たい感じがします。
Dear [name],
Attached please find the report you requested. (または、As requested, here is a list of X.)
Kind regards,
[name]
距離を詰め過ぎないことが得策であるシーンは確かにあるので、まさに用件「のみ」のメッセージは状況に応じて使い分けましょう。
日本語で使用する「平素よりお世話になっております」や「お疲れ様です」は無駄な言葉だとする意見もありますが、こういった挨拶とequivalentな書き出しの表現は英語にもあります。英語メールの書き出しに使用される表現は、日本語からのword-for-word translationでないだけです。
ビジネスメールなので、特別な状況でなければ難しく考えず、“I hope you are well”, “I hope this message finds you well”で十分です。この程度の挨拶は、エチケットとして多くの人が使用しています。
返信メールの場合は、上記の代わりに “Thank you for your message”, “Thank you for your inquiry”, “Thank you for the (detailed) information”といった表現でメッセージを始めます。
なお、初めて送るメッセージに、無理して“Forgive me for contacting you out of the blue(突然のメールにて失礼いたします)”といった表現を入れると相手が不信感を抱きます。英語を日常的に使用する人に、“apologies”や“forgive”といった言葉が冒頭に入ったメッセージを送るとかなりの確率で警戒されます。このような表現は、icebreakerではなくdealbreakerです。
また、丁寧が過剰になり“kindly”を連発すると、慇懃無礼に取られる可能性があります。筆者がこの15年ほどで見てきた限りでは、英語を第二言語として使用している一部の国の人達が“kindly”を頻繁に使用している気がします。筆者が現在までの15年(以上)で受け取った英語ネイティブスピーカーからのメールに“kindly”の語を見たことはありません。