フリーランスの翻訳者は、自分で選んだ取引先と契約を結びます。
熟考を経て契約書に署名した相手でも、実際に取引を始めてみたら、ひどい翻訳会社もしくは自分には合わない相手だった、ということは、フリーランスとして働く以上、避けられない事態なのかもしれません。
車を日常的に長年運転すれば、大なり小なり事故に遭うことは覚悟しなければならないのと同じです。
ひどい翻訳会社と関わってしまった場合の対応には、大きく分けて以下の二通りがあります。
- 自分が相手に合わせて我慢する
- 離別する
まるで離婚のアドバイスの様ですが、感覚としては同じです。
自分に合わない翻訳会社と取引を続けていると、搾取関係が生まれ、自分が消耗します。
また、ビジネスの視点からも、取引先として相応しくない相手に多大な時間や労力をかけるのはマイナスです。
フリーランス翻訳者は、自分の心身の健康と事業の健全性を、自分で守らなくてはなりません。
ひどい翻訳会社に関わってしまった場合には、なんとなくズルズルと関係を続けるのではなく、取引を続けるのか、止めるのか、自分のスタンスを明確にしましょう。
関係を断つ場合は、徐々にフェードアウトしても、「登録を消してください」とお願いしても、どちらでも構いませんが、自分がどうしたいのかだけは明確に決めておきましょう。
そうしないと、引き止められて、自分にメリットのない関係を無駄に続けることになります。
目次
ひどい翻訳会社とは
「ひどい翻訳会社」の定義は人それぞれです。
とはいえ、フリーランス翻訳者は周囲と状況を比較する機会が非常に限られているため、問題の相手が「ひどい」のかどうなのか、判断しかねている人が多いと思います。
また、日本には苦しみを耐え抜くことを美徳とする文化が根付いているので、日本人以外が見たら「どう考えても搾取だろう」と一目で分かる関係でも、頑張り続ける翻訳者が割といます。
本ブログに繰り返し登場している激安・大量生産系の翻訳がその類です。
余りに条件が悪いので、程なくして力尽きる人が多いようですが。
ひどい翻訳会社の要素としては、他には以下が挙げられるでしょうか。
- 翻訳料の未払い(度重なる計算間違いも)
- 翻訳料から高額な支払い手数料を差し引く
- 受注の可能性がある案件を打診し、翻訳者の予定を押さえる(結局受注に至らない場合がある)
- チェッカーによる改悪や粗探しが多い
- お客様を神様扱い
翻訳者としてキャリアを積むには、相当な努力が必要であることは間違いありません。
しかし、理不尽な取引先を我慢し続けることは、翻訳者としてのキャリアを積む上でむしろマイナスとなります。
ですので、各取引先について自分の考えを適宜省察して、取引関係の中長期的な方向性を明確にしておくことをお勧めします。
手あたり次第に契約しない
仕事欲しさに、翻訳会社に手あたり次第に応募したり、契約書に次々と署名したりするのは絶対にやめましょう。
翻訳会社の中には、企業として法律上の形態を有している団体でも、事業を適切に運営できていない(していない)所があります。
翻訳会社に限らず、どの業界でも同じです。
就職先はもちろん、アルバイトやパート先でも、仕事が欲しいからといってブラック企業に入ってしまうと、後で苦労します。
翻訳も同じです。
しかし、フリーランス翻訳者が被雇用者と異なるのは、困った相手と関わってしまった場合には、あっさりと取引関係を解消できるということです。
もちろん、受注してしまった案件だけは、業務委託契約が成立しているので片づけなくてはなりません。
翻訳会社に登録する前には以下をはじめとした情報を参照して、相手をよく調べましょう。
- 会社のウェブサイト(事業内容、会社概要)
- ネット上での一般的な評判
- 翻訳者コミュニティでの評判
3. については、別の投稿で紹介した通り、翻訳者向けコミュニティがいくつかネット上にあります。
ただ、これらのサイトに載っているレーティングは真に受けない方が良いでしょう。
Dr. 会社員は、取引先候補を判断する際に一応見ますが、その理由は、対象の取引先が常に最高のレーティングを受けていないかを確認するためです。
翻訳者全員から最高のレーティングを受けている会社は、「怪しさ」のレーティングも最高です。
一方、評価が低すぎる会社の場合は、素直に捉えて大丈夫でしょう。
翻訳者から次々とマイナス評価を受けている会社と雖も、ひょっとしたら良いところがあるのかもしれません。
しかし、トラブルの予感がする相手にわざわざアプローチする必要はありません。
まとめ
今回の投稿では、ひどい翻訳会社に登録してしまったらどうするか、ということについて説明しました。
フリーランスとして働く以上、ひどい取引先に遭遇することは避けられません。
可能な限り関わらないよう努力する一方で、事故で関わってしまった場合には、自分が消耗する前に対処しましょう。