在宅翻訳の登録先、大手か中小か

翻訳の仕事(在宅)相手、大手か中小か

フリーランス(個人事業主)の翻訳家は、自分の仕事相手を自分で決められます。

サラリーマンではないので、登録先(取引先)の翻訳会社とは対等の立場です。


翻訳家と翻訳会社はビジネスパートナー

翻訳家と翻訳会社はビジネスパートナー

翻訳家と翻訳会社にとって、互いの存在は事業を継続する上で欠かせません。

翻訳家は翻訳会社のおかげで営業活動をしなくても仕事が入ってきます。一方、翻訳会社は高い人件費を抑えつつ優秀な翻訳家をキープできます。

良い取引先と契約できれば双方win-winの関係でいられます。

翻訳家も翻訳会社も、どちらも偉そうになってはいけません。

よって、翻訳者が必要以上に卑屈になる必要はありません。

我慢できないくらい付き合いにくい会社だと思えば、取引先を変えるのは翻訳者の自由です。実力さえあれば次の取引先は必ず見つかります。

フリーランスの翻訳者は大抵
3~5社くらいの取引先を持っています

Dr. 会社員の個人的な考えですが、一社のみに全取引を集中すると、その会社の受注が落ちた時自分が受けるダメージが大きくなるので取引先は数社に分散した方が安全かと思います。

さらに、会社の規模が異なると受注の頻度や案件の断りやすさも異なるため、取引先の規模も分散するとリスクを管理しやすくなります。


大手・中小・零細

翻訳会社の規模は大体ですが以下の様に分けられます。

  • 大手(従業員50人以上)
  • 中小(従業員10~50人未満)
  • 零細(社長一人~従業員10人未満)

それぞれ特徴があります。

今回の投稿では、大手・中小・零細のメリットとデメリットを説明します。全てに当てはまるわけではなく、Dr. 会社員自身の経験に基づく考えですが、翻訳の仕事を探している方の参考になれば幸いです。


大手

*翻訳以外のビジネスも手掛けていることが多い

大手

メリット

  • ドライな関係。出会いも別れもあっさり
  • 翻訳料の支払いサイクルは長めだが、未払いの心配はほぼ不要
  • システム利用のヘルプデスクと連絡が付きやすい(プロジェクトマネージャーには必ずしも当てはまらない)
  • 世界の有名企業から案件が来るため、ビッグな翻訳者になった気分を味わえるかもしれない

デメリット

  • プロジェクトマネージャー(PM)がものすごい数。頻繁に代わり、翻訳分野の知識がないPMが付くことも。コミュニケーションに難を感じることが度々
  • 翻訳者の情報がデータベースで管理されているため、データベース上の情報を一瞥しただけのPMから専門外の案件を振られることがある。全く読み書きできない言語の案件を振られることすらある
  • チェッカー間のスキルの差が大きい。意味不明なフィードバックが来ることも
  • スタイルガイドなどルールが多くて面倒なことがある

中小

中小

メリット

  • 大手と比較して、ビジネスパートナーとして付き合っている実感が各段に上がる
  • 同じPMやチェッカーと継続して仕事ができる。同じチームで作業できるので翻訳の質が安定する
  • 翻訳の依頼元(ソースクライアント)が一定している。たとえ不定期でも、同じ相手から案件が入ってくると、翻訳の作業が捗る

デメリット

  • 当てはまる会社はほんの一部だが、翻訳料の支払いが遅れることがある。催促すれば払ってはくれるが、毎回催促するのは時間のムダと感じる
  • 一緒に仕事をするPMがいつも同じなので、失態を記憶される

零細

零細

メリット

  • 専門性の高い案件を持っている確率が高い。言語も分野も特化している会社が多く、ソースクライアントからの信頼も厚い
  • 中小同様、ソースクライアントが一定
  • 翻訳者のスキルを詳細に評価してくれる場合が多く、どの翻訳者がどんな案件が得意かを把握しており、翻訳者を大事にしてくれるケースが多い

デメリット

  • 扱う分野によっては不況に弱い。2020年は観光や留学を主に取り扱っていた翻訳会社が大打撃を受けたはず。2007-08年は金融を専門にしていた会社が中心に犠牲になった
  • 付き合いが深くなりすぎることがある。頼み込まれてこちらの予定が組みにくくなることも
  • ソースクライアントの未払いがあると、翻訳者が犠牲になる危険が…
  • 専門性の高い零細でない場合、単に経営が上手くいっていないだけ、かもしれない

まとめ

まとめ

上記に大まかな特徴を挙げましたが、個々の会社にはそれぞれユニークな特徴があり、上記に限定されません。家庭内の様子は当事者にしかわからないのと同じで、翻訳会社との働きやすさは実際に一緒に仕事をしてみないと分かりません。

取引先を上手く分散しつつ、最終的に付き合いやすい相手を数社見つけていくと良いと思います。

Dr. 会社員は上記三種類の規模全ての会社と取引した経験がありますが、個人的には、大手が自分のメインの取引相手になることはない、と以上に挙げた特徴により感じています。

翻訳の仕事を探すにあたり、考えておいた方がよいと思われることをまとめた投稿もありますので、関心がある方は是非ご覧になってください。