先日、近所(英語圏の国です)のスーパーで日本製のスナック菓子を見かけました。
パッケージは、日本でよく見かけるお馴染みのデザインのままでしたが、絵柄の中のキャラクターが発している、吹き出しの中の言葉が英語に翻訳されていました。
More delicious.
と書いてあったので、恐らく日本語では
さらに(もっと)おいしく。
と書いてあったのだと察します。
職業柄、こういう直訳調の英語がものすごく気になってしまいます。
今回は以下の二点において違和感を覚えました。
- スナック菓子に使う「おいしい」のニュアンスは、英語の「delicious」と異なる
- 「More」の比較対象がない
目次
子供向けの言葉と大人向けの言葉
「delicious」は「美味」とほぼイコールかと思います。
何というか、ただの「おいしい」より少し深みのある表現です。
英語圏でもスナック菓子を食べる大人はたくさんいます。ただ西洋諸国では日本と比較して、「スナック菓子=子供の食べ物」というステレオタイプが強い気がします。
なので、先日見た日本製のお菓子のパッケージは、子供向けのかわいらしいキャラクターが大人っぽく
一層美味
というセリフを発している感じなんですよ。
まあ、それはそれでユニークでいいかもしれませんが、一言で
Yummy!
と書いてあれば、パッケージのキャラクターにもっと自然にマッチしたような気がします。
「More」には比較対象が必要
前後の文脈なくいきなり「More」が単独で使われているのを見ると、ネイティブは直観的にに「than what?」と思います。
比較対象が見当たらないので、読んだ人は消化不良な気持ちになります。
多分、「improved taste」がこのお菓子が伝えたかった「もっとおいしくなりました」に近いニュアンスでしょう。
「More」は単独で使えないことはないのですが、このパッケージの場合は少々無理があった気がします。
色々書きましたが、このお菓子は世界中で日本製ということが知られているので、多少不自然な翻訳がパッケージに書かれていたとしても誰も気にしないと思います。
日本語から英語への翻訳についてもう少し深く解説した投稿もあるので、興味がある方はご覧になってください。