翻訳の仕事がない、何故か?

翻訳の仕事がない、何故か?

翻訳者としての資質を備えているにもかかわらず、翻訳の仕事が見つからない場合は、仕事の探し方を見直してみる必要があるかもしれません。

過去の投稿でも触れましたが、翻訳の仕事を探す際に一般的な就活アプローチは通用しません

翻訳業はサラリーマンではなく自由業なので、仕事を探す際のマインドセットをサラリーマンと同じにしてはいけません。

もう少し具体的に言うと、翻訳者向けの求人サイトで良い翻訳の仕事が見つかる可能性は低い、ということになります。

実際、Dr. 会社員はこれまでの翻訳歴15年を通して、翻訳者の求人に特化したサイトで良い取引先に出会ったのは一度だけです。


翻訳の仕事は、腕次第で自由に広げられる

翻訳の仕事は、腕次第で自由に広げられる

翻訳家の最大のメリットは企業に縛られず、自分の腕次第で自由に取引先や仕事環境を選べる*、ということでしょう。

* 「仕事環境が選べる」というのは、ノマドOKという意味ではありません。フリーランス翻訳者は、自分の好きなようにオフィス空間を創れる、という意味です。ノマドは翻訳に全く向いていません。

翻訳家の能力は、一般的に実施されている試験や検定では正確に把握できません。

翻訳家の評価は、納品物に対するクライアントからの反応で決まります。

よって、翻訳スクールで好成績を収めたり、英語検定で高得点を取ったり、特定の翻訳会社のトライアルに合格したり、といったことは翻訳の仕事には直結しません。

翻訳の仕事がなかなか見つからない人は大抵、上記に意識が集中しています。

上記が無駄、という訳ではありません。

しかし、上記を仕事(=収入)と直結させる思考は、危険です。

このような思考が芽生えている人は、自分がマーケティングに影響されている消費者であることを自覚する必要があるかもしれません。


仕事がない人同士で情報交換

仕事がない人同士で情報交換

仕事がないと、ネットでのリサーチやスクール仲間との情報交換、という流れが一般的かもしれません。

これはますます仕事が見つからなくなるパターンです。

それは何故か?


ネットで求人検索

まずネットでの情報収集について説明します。

ネットで翻訳の仕事を探す時に以下のキーワードを使っていませんか?

「翻訳」
「求人」
「募集」
「仕事」

これらのキーワードで検索すると、翻訳者なら誰でも知っているサイトしか見つかりません。

これらのサイトには、翻訳者を年中募集してばかりいる常連がいます。

これらの会社は何故いつも求人募集状態なのか?

業務が急拡大しているから、と思いますか?

しかも、これらの求人に応募する人はほぼ全員が、「翻訳」「求人」「募集」「仕事」(「未経験」)のキーワードで集まってきた人達です。つまり、同じような背景や翻訳スキルを持ち、同じような状況にいる人がいっぺんに同じ求人に群がることになるのです。

ここで運よくトライアルに合格して登録に至ったとしましょう。

しかし、同時期にトライアルに合格した人が何人いるのかは不明です。その会社に既に何人翻訳者が登録されているのかも不明です。

因みに、ここでトライアルに落ちたからといって、スクールに通い直すのは得策ではありません。

翻訳者を登録するだけだったら、雇用とは異なり翻訳会社のコストはほぼゼロなので、登録しようと思えば何万人でも登録できます。

せっかくインターネットという便利な情報収集ツールがあるのですから、翻訳求人専用サイトに限定せず、もっと自由に、広い視野で取引先候補を探すことをお勧めします。


仕事がない人同士の情報交換

仕事がない人から仕事探しの情報を得られるのでしょうか?

どうせなら、仕事を持っている翻訳者数名から、どうやって仕事を得たのかを直接聞きましょう

数名、と書いたのは、翻訳者のキャリアは非常に多岐にわたり、万人に当てはまるルートがないからです。

トライアル浪人は非生産的です。

トライアルを受けなくても、小さな案件を数件回してくれて、その内容を基に今後の取引を決定してくれる会社はたくさんあります。


まとめ

まとめ

今回の投稿では、翻訳の仕事が見つからない要因を、Dr. 会社員の視点で説明しました。

翻訳の仕事がなくて困っている場合はまず、仕事がない人と同じことをするのを止めましょう

翻訳の仕事探しは受験戦争や新卒の就活と違うので、全員が同じ条件で競う必要はありません。

特に以下の3点は、翻訳家を目指す人の間で定番のメソッドになっていますが、仕事に直結しない可能性が高い気がします。

  • 翻訳スクールや翻訳家養成用の教材に支出し続ける
  • 英語力を翻訳に不要な方向で高め続ける
  • トライアル浪人を続ける

特に、本ブログで何度も説明している様に、英語から日本語への仕事がしたいなら、英語力を間違った方向で高め続けるのはやめましょう。

和訳の仕事と言うのは、翻訳者が英語を読めていることをアピールするものではありません。

読者が読んで分かる日本語を書くことが最大の使命である、ということを忘れてはなりません。