翻訳で副業を、と考える人の多くは、翻訳の未経験者です。
ただ、「翻訳」+「副業」+「未経験」が揃うと、「キツイ」+「厳しい」+「困窮」の3Kジョブになる可能性が高そうです。
ネットの質問サイトなどを見ると、以下の条件を備えた人が多い様です。
- 学生時代英語の成績がよかった
- 英語検定でよい点数を取っている
- 現職で英語を使っている
1と2については、本ブログで繰り返し説明している通り、日本語力と専門知識を磨かない限り、デビューと同時に撃沈します。
目次
専門文書に馴染みがあれば有利
3の「現職で英語を使っている」人は、使っている英語の内容と働き方次第で、翻訳からそれなりの収入を得られるかもしれません。
輸出入に必要となる書類を英語で日常的に読んだり記入したりしている人であれば、貿易関連の翻訳は日本語から英語、英語から日本語のどちらの方向でもできると思います。
もちろん、日本語から英語の場合はネイティブ並みの英語力が必要となり、英語から日本語の場合は、プロのライターやジャーナリスト並みの日本語力が必要になります。
また、投資会社や金融機関などで米国の個別株を分析しているアナリストの人は、投資関係の翻訳で活躍できるでしょう。
ただ3の場合も問題は色々とあります。
現職が十分忙しいでしょうから、副業することで本業に支障をきたす可能性が非常に高いと言えます。
さらに、自分の都合で生じる空き時間に合わせて、自分の専門分野の案件が発生するとは限りません。
「儲かりそう」という動機で専門を決めない
ネット界では儲かる翻訳のエリアとして、医療や特許などがよく挙げられています。
こういう分野に特化したコースを準備している翻訳スクールもあります。
確かに、儲かりそうな分野を戦略的に選ぶことで、高収入が狙えるかもしれません。
ただし、こういう専門的な分野は、翻訳のスキルを学びつつ、馴染みのない専門知識も身に着け、しかも副業で気軽に参入できるものではありません。
Dr. 会社員が最近レビューした翻訳文には、
定期健診で
体の一部を
切り取りましょう
という意味の日本語が書かれていました。
体の一部を定期的に切り取ったら、人間の体はいずれなくなってしまいます。
実際に原文に書かれていたのは、粘膜組織を採取する某検査を定期的に受けよう、という内容でした。
他にも、金利と国債と株価の関係がめちゃくちゃに訳された翻訳も目にしたことがあります。
訳文が本当なら、ウォールストリートには今頃、大変化が起きているはずです。
原文を読まず訳文だけを読んだら、変だと思う訳文なのですが、翻訳者は翻訳作業中に原文の一字一句に夢中になりがちなので、英語を勘違いして読んでいるのに気付けないことがあります。
もちろん、これはDr. 会社員にも当てはまります。
しかし、この勘違いは、前提となる専門知識を徹底的に深めることでかなり防げます。
ただ、専門分野の翻訳者を目指す動機が「ペイが良さそう」ということだけであるなら、止めた方が良いでしょう。
関心のない事柄は知識として脳内に定着しませんし、勉強を継続できないからです。
一次的な丸暗記から先に進めず、いわゆる「トライアル対策」で終わることになります。
副業の翻訳に向いているのは
副業で翻訳の仕事を受けてそれなりに稼げるのは、翻訳の経験者ではないかとDr. 会社員は思っています。
テクノロジーが発達したため、翻訳案件の受注はできるだけスピーディーに進める必要があります。
また、自分のキャパを超えている案件や報酬が低すぎる案件を断る判断も、一瞬で下す必要があります。
プロジェクトマネージャーは激務なので、翻訳者からの返事を1日も2日も待っている余裕はありません。
一度でも本気で翻訳業に携わったことがある人なら、このスピード感が身に付いているので、副業でも何とかこなせるかもしれません。
まとめ
今回の投稿では、翻訳の副業を未経験で始めると3Kジョブになるかもしれない、という考えを説明しました。
当然ですが、現在活躍している翻訳者は全員、未経験からキャリアを積んでいます。
ただ、未経験で闇雲に翻訳を副業で始めると、3Kジョブに日々取り組むことになるのでは、という気がします。
もちろん、3Kジョブでも構わないので翻訳で副業してみたいというなら、それはそれで良いと思います。
本当にやりたい事、関心のある事は、やってみるのが一番です。
上手くいかなかったら、改善したり、やり直したりすれば良いのです。