本を読まない人が手掛けた翻訳は、一目で分かります。
英→日翻訳業界には、英語検定のスコアを基に業界に参入した翻訳者が多数います。
翻訳の世界に足を踏み入れたきっかけが語学、ということには全く問題ありません。
問題はその後です。
テストで測る英語力だけが強みの翻訳者が、業界参入後に日本語を磨く努力を怠ると、変な日本語で書かれた訳文を永遠に世に送り出し続けることになります。
目次
読書しない人の日本語は、高確率で変
日本の英語教育はテクニックと暗記ベースなので、本を読まない人でも、単語、受験用の言い回し、特定のテクニックを丸暗記することで英語検定や入試で高得点を取ることが可能です。
過去の投稿でも触れたように、学校での英語の成績と、翻訳家としてのキャリアにはあまり相関がありません。
一方、翻訳の世界で生き残れるかどうかには、現在までの読書量が大きく影響してきます。
それは、読書量が多い人は母国語の言語運用能力が概して高い傾向があり、外国語の運用能力は母国語の運用能力に比例するためです。
ここで言う「読書」とは、小説などのフィクションばかりを読むことを指しているのではありません。学術書や論文、法律関係の文書などを熟読することも読書です。
むしろ、フィクションばかり読んでいる人の中には、書かれている内容をきちんと読まずに創造力で補っている人もいます。
記者の仕事をしていた頃、他の人が書いた原稿をチェックすることが度々ありましたが、読書の習慣がない人の日本語は変であることが多かったと記憶しています。
語彙や表現力は、現在までにインプットしたものしか使いこなせません。
読んだことも聞いたこともない表現を翻訳でいきなり使おうとするのは、非現実的です。
日本語が変でもOKな分野は、一応ある
翻訳にも様々なジャンルがあって、美しい文章が求められるものと、求められないものがあります。
後者は主に、単語やフレーズを二言語間で置き換える作業で、ローカライズと呼ばれる分野や、最近では言語AI開発用のデータの言語間置き換え作業などがあります。
因みに、上記のローカライズについては、翻訳会社がプロモーションを通して発しているイメージと、実際に翻訳者が受けている案件の内容に大きな溝がある気がします。
とはいえ、翻訳家になりたいと考えている人の多くは、メディアでの露出が多い、文芸作品の翻訳や映画字幕の翻訳を想定していると思います。
このような分野では特に、美しくクリエイティブな日本語が求められます。
まとめ
今回の投稿では、本を読まない人の翻訳は見てすぐわかる、ということを説明しました。
- 読書しない人の日本語は、高確率で変
- 日本語が変でもOKな分野は、一応ある
本ブログを通して繰り返し書いていることですが、翻訳家として高いレベルを目指すのであれば読書は必須です。