一流の翻訳家になりたいなら、民間の翻訳スクールではなく、大学に行くほうが支出に対するリターンが大きいでしょう。
また、既に十分な語学力がある人は、翻訳や通訳の学部ではなく、翻訳家として専門にしたい分野の学部に行くことをお勧めします。
学士は時間がかかりすぎるので、修士がお勧めです。
日本の場合は「普通の修士」と「社会人修士」と、区別されているので、修士課程に進むなら海外の大学院の方が良いでしょう。
Dr. 会社員は博論を書いていた頃、お金を貯めて休職(退職)し、修士号を取りに来たという日本人に大学で何人も会いました。
翻訳家を目指している人もおり、非常に向上心に溢れた人ばかりでした。
今回の投稿では、一流の翻訳家を目指す人には、民間の翻訳スクールではなく大学を勧める理由を説明します。
目次
専門知識を体系的に学べる
民間の翻訳スクールで最もリターンを得られるのは、以下の条件両方に当てはまる人です。
- 既に専門知識を有している
- 原文の理解に問題がない
専門知識があって、言語の運用能力が高い人が、翻訳家になる前の最後の仕上げとして訳文を書く際の記述力を身に付けるために翻訳スクールに通うと、最もリターンが期待できます。
一方、リターンが最も低くなるのは、以下の要素を備えている人です。
- 専門がない
- 語学の成績が良い
- 大学では語学、文学、言語学を勉強した
一定の語学力を備えている人は、現在以上に語学の勉強に励む必要はありません。理由は過去の投稿で説明しました。
その代わり、言葉の運用能力と専門知識を身に付ける必要があります。
学位は世界共通+一生残る
民間の翻訳スクールを修了して、履歴書にその旨を書きますか?
日本の翻訳業界のごく限られた人しか、そのスクールで学んだ意味を理解できません。
一方、大学(正式な大学に限る)から授与される学位は、世界中で認識してもらえます。
学位は一生残ります。更新も不要です。
大学は翻訳会社との利害関係がない
民間の翻訳スクールの中には、特定の翻訳会社と利害関係を有するものがあります。
翻訳会社がスクールを運営していることすらあります。
一方、大学は通常、特定の団体と利害関係を有していけないという倫理規定を設けています。
日本の私立学校は学校法人、国立大学は国立大学法人。どちらも非営利団体です。
利害関係を有する集団に入ることで、(収入は問わず)翻訳の仕事を得る、という短期的な目的は達成できるかもしれません。
どちらを選ぶかは本人次第です。
まとめ
今回の投稿では、一流の翻訳家を目指すのであれば、翻訳スクールよりも大学をお勧めする理由を説明しました。
- 専門知識を体系的に学べる
- 学位は世界共通+一生残る
- 大学は翻訳会社との利害関係がない
大学に行くには大金が必要ですが、中途半端に投資して、中途半端な翻訳家になるより、長期的なリターンは大きいと言えます。
一流の翻訳家になるには、これくらいの覚悟が必要です。
また、生活できるだけの収入が継続して得られるのも、一流の翻訳家だけです。