翻訳業界で生き残るには、専門分野を持つ翻訳家になるのが一番です。
ただ、翻訳スクールに通うだけでは専門知識を深めることはできません。
何故か?
それは、翻訳スクールで学べるのは、法律や医療といった専門分野の知識を翻訳で生かすテクニックであって、専門知識そのものではないからです。
過去の投稿でも触れたように、専門分野を持つ翻訳家の多くは、語学以外の分野で学歴・職歴を積んできた人です。
目次
翻訳のパターンを学ぶには効果的
専門分野を持つ翻訳家を目指す上で、質の高い講座を受けることは一定のメリットがあると言えるでしょう。
専門分野の翻訳によくあるパターンを教えてもらえるからです。
専門分野に限らず、現役の翻訳者ですらも多くが不自然に訳している「help」や「ensure」、「any」といった言葉を自然に訳すコツも学べます。
また、一見同じ意味を持つように見える英単語を別々の日本語に訳さなければならないという業界のルールや、直訳してはならない専門用語、といった知識も得ることができます。
これらは、翻訳以外の専門知識を持っている翻訳家志望者が知らない、翻訳業界の知識です。
この様な知識を有料で提供しているので、翻訳スクールだとDr. 会社員は思っています。
ただ、こういう情報は、自分で調べることで得ることもできます。
翻訳スクールの限界
翻訳スクールでは、翻訳のルールやコツを学ぶことはできるものの、専門知識の習得という面では不十分です。
Dr. 会社員は以前、翻訳スクールで専門分野のコースを取ったのだろうと思われる日本人翻訳者による訳文をチェックしたことがあります。
日本語から英語への翻訳で、ある専門用語の定義が完全に間違って訳されていました。
定義の説明内容に使われている各単語は正しく訳されていたものの、全体のロジックが訳に正しく反映されていませんでした。
日本語の原文が分かりにくい構造だったものの、この分野の知識がある人物が読めば、誤訳と一目で分かる内容でした。
また、複数形にすべきところが単数形に、そして単数形にすべきところが複数形に訳されているなど、その他の問題も多数見つかりました。
業界経験を積むか大学に行く
一流の翻訳家として仕事をしていくための専門知識を身に着けるには、対象の業界で経験を積むか、大学で学ぶのが王道でしょう。
強い意志があれば、独学でなんとかなるかもしれません。
近年は、ネットを通してかなり高度な内容も学習できます。
様々な書籍もネットで注文できます。
Dr. 会社員は自分がPhDを持っている分野の翻訳を主に受注していますし、自分が個人的に知っているハイレベルな翻訳家も、語学関係ではない専門分野の学位や業界経験を持っています。
特に、レベルの高い翻訳者を求めている日本国外の会社に履歴書を送ると、採用担当者が主に見るのは専門分野の学位や職歴で、語学検定の点数はほとんど見ていません。
語学検定の点数よりも翻訳の学位の方が重視されている印象を受けますが、翻訳の学位も必須ではありません。
まとめ
今回の投稿では、専門分野を持つ翻訳家を目指すにあたり、翻訳スクールで学ぶだけでは不十分である理由を説明しました。
- 翻訳のパターンを学ぶには効果的
- 翻訳スクールの限界
- 業界経験を積むか大学に行く
翻訳は非常に高度な作業です。
語学が得意、というだけでは二極化構造が進む翻訳業界で搾取される恐れがあります。翻訳業界で生き残るつもりなら、語学以外の勉強にも注意を向ける必要があります。