翻訳に「不可欠」な資格とは

翻訳に「不可欠」な資格とは

翻訳に必要な資格は何でしょう。

Dr. 会社員の自身の経験に基づく正直な感想は、

公的機関が直接のクライアントの場合、国によっては翻訳者や通訳者の特定の資格がないと原則仕事をさせてもらえない場合がある。
ただし、世界全体の翻訳業界に関しては、特定の資格を有することが翻訳者として仕事をするための必須条件ではない。

といったところでしょうか。

過去の投稿で何度か触れましたが、

翻訳はアートであり、職人技です。

翻訳の内容が高度で専門的になればなるほど、翻訳の品質と翻訳の資格の相関が薄れます。


翻訳の資格が役立つシーンは限定的

翻訳の資格が役立つシーンは限定的

翻訳の資格を持っている人は確かに、一般的な翻訳スキルを有していると思います。

そういった意味では、大手の翻訳会社に翻訳者として登録を希望する際に、トライアルを受けさせてもらえる可能性が高まるでしょう。

もちろん、トライアルの結果は様々な要因に影響を受けますし、資格があるからトライアルに合格するわけでもありません。

気を付けるべき点は、一般的な翻訳スキルと業界に特化した知識は完全に別物だということです。

また、翻訳の資格を取ることに集中しすぎると、翻訳で仕事をする、という本来の目的を見失い、優良な翻訳スクールを探し続ける、という本末転倒な流れにハマる可能性があります。


高度な翻訳には専門知識が必須

一般的に、翻訳で生計を立てるには、専門分野を持つべきだ、と言われていますし、Dr. 会社員もその通りだと思います。

翻訳の資格は、業界の知識だけでなく、文章表現力ともあまり相関していない気がします。文法的には正しくても、読み手にメッセージがまったく伝わらない訳文、というのは山ほど存在します。

唯一、Dr. 会社員が比較的強めの相関を感じるのは、翻訳の資格と原文の読解能力です。

Dr. 会社員は現在、かなりニッチな分野の仕事を一部のクライアントから定期的に受けていますが、取引契約を結ぶ前に聞かれたのは翻訳の資格の有無ではなく、翻訳分野での大学院卒の学歴や職歴を有しているかでした。

その後、小規模な案件を数件こなしてから、定期的にお仕事を頂くようになりました。

翻訳の資格は確かに、以下の様な基本的なスキルを持っていることの証明にはなるかもしれません。

  • 原文に書いてある言葉を残らず訳す
  • クリエイティブすぎる意訳をしない
  • 訳出先の文章を正確な文法で書く

しかし、翻訳の資格は、専門性の高い分野での翻訳ができる証明にはなりません

翻訳の資格を取ったのに思うように仕事が見つからない人は、上記の点を見つめ直す必要があるかもしれません。

翻訳は非常に複雑な作業です。翻訳分野の専門知識、翻訳先の言語での文章表現力、原文の読解力、のすべてが必要です。