世界の言語サービス会社ランキング

米国の民間調査会社CSA Researchが今年の半ばに、2020年世界言語サービス企業(Language Service Provider: LSP)トップ100を発表しました。

Source: CSA Research

日系企業も6社ランクインしています。

売上の数字から、言語サービス市場はかなり大きいことが分かります。

*「revenue」と「sales」は厳密には少し意味が違うのですが、一般的な内容では大抵、同義で扱われています。

言語サービス業界は、他業界と比較してテレワークで事業を進めやすいので、今年のコロナ禍で外出規制、自宅勤務が敷かれる中、比較的柔軟に対応できている様です。

とはいえ、言語サービスを依頼する側の事業が停滞した場合は、いくら働きやすい環境がそろっているとはいえ、LSPの売上も必然的に落ちます。


言語サービス業界に特化したランキングはあまり目にすることがないことから、このランキングはなかなか面白いデータではあります。

因みに、わざわざ言及する必要はないのかもしれませんが、

売上の大きい会社

働きやすい会社、優良企業

では決してありません。

間違っても、このランキングのみに基づいて翻訳者登録を希望してはいけません

これとは別に、リモートワーク優良企業ランキングは米国の求人サイトFlexjobsが発表しているので、このような別の情報も参照して複合的に判断してください。


翻訳≠主要事業

翻訳≠主要事業

このランキングの上位に入っている会社を見て改めて思いましたが、LSPで売上を伸ばしているのは概して翻訳・通訳以外のサービスを手広く手掛けている会社ですね。

マーケティングソリューションや市場調査、機械翻訳の開発などによる売上もかなり大きいと思います。

CSAが発表したこのランキングは、調査手法・方法論(methodology)や売上の内訳が明記されていないので、このランキングは翻訳・通訳サービスに特化したものではなさそうです。

世界大学ランキングのような、研究の専門家が頻繁に目にするデータを載せているウェブサイトは大抵、ランキングのページに「methodology」と書かれたボタンがあります。「Methodology」のページでは、ランキングを決定する際に参照した指標や調査方法などの詳しい説明を読むことができます。

調査方法が不明とはいえ、CSAのこのデータも世界のLSPを幅広く知る上で役立つと思います。また、今後の取引先開拓や、業界の動向に関する最新の知識を深めるきっかけにはできそうです。

ランキングに入っている会社は各社充実したウェブサイトやプレスリリースで情報を発信しているので、興味のある会社は詳しく調べてみることをお勧めします。