翻訳で稼ぐなら、正攻法でスキルアップ

翻訳で稼ぎたいなら、近道は忘れよう

テクノロジーが発達したおかげで、翻訳の仕事がずいぶん見つけやすくなりました。

既に翻訳家として仕事をしている人たちにとっても、世界中のクライアントとコミュニケーションがとりやすくなったため、仕事の機会も増えました。Dr. 会社員もそのうちの一人です。

とはいえ、過去の投稿でも触れましたが、テクノロジーの発展は翻訳業界に二極化をもたらしたように見えます。

テクノロジーの発展に乗って、ますます稼げるようになったグループとそうでないグループ。

後者の多くは、いわゆるgig economyに属していると言えるのではないでしょうか。

Gig economyについての説明はこちら。ウーバーやエアビーアンドビーなどが属するジャンルです。

gig economy
Source: Wikipedia

Easy come, easy go

Easy come, easy go

翻訳は

英語がちょっとできれば
誰にでも簡単に始められて、
ガッツリ稼げる

というイメージが広まっているようですが、これはgig economyが人を集める際に用いる常套句ですね。

Dr. 会社員も、gig economyについて上記のフレーズの前半は真実だと思います。

後半に関しては、「ガッツリ」を取り除いて

がむしゃらに量をこなせば、
それなりに。

を加える必要があるかと思います。

現在の翻訳業界には

質重視の翻訳者

量重視の翻訳者

共存しているように見えます。


Gig economyについての考察をハーバード大のShorenstein Centerが発表しています

“One central area of argument relates to whether the sharing economy is simply bringing more wage-earning opportunities to more people, or whether its net effect is the displacement of traditionally secure jobs and the creation of a land of part-time, low-paid work.”

Harvard Kennedy School’s Shorenstein Center, 2016
Gig economyについての考察をハーバード大のShorenstein Centerが発表しています。
Source: Harvard Kennedy School’s Shorenstein Center

別の投稿でも触れましたが、gig economy翻訳界には簡単に参入できるため、ビジネスの性質をきちんと理解していないと、頑張っている割に報われない翻訳家になってしまいます。

この投稿をここまで読んでくださった方にとっては、どういった取引先がgig economy系なのかは想像に難くないと思います。


スキルアップは正攻法で

スキルアップは正攻法で

能力ある翻訳家として成長し、それなりの売上を達成していくにはやはり、地道な正攻法が長期的には最もリターンの大きい選択肢だと、Dr. 会社員は思っています。

翻訳ではなく、投資に関する本ですが、翻訳家を志す上で参考になる考え方が書かれている一冊を紹介します。

世界一の投資家と言われるWarren Buffet氏の先生だった方の著書です。

タイトル:The Intelligent Investor: A Book of Practical Counsel

著者:Benjamin Graham

1973年に発行された本ですが、Dr. 会社員の手元にあるのは2003年の改訂版です。

本ブログで繰り返し言っていることですが、翻訳家として真剣にキャリアを目指すなら自分の専門分野を持ち、日々勉強を続けることが大切です。

小手先のテクニックであっという間にガッツリ稼げる、というアイデアは幻想です。

We shall repeat here without apology—for the warning cannot be given too often—that the investor cannot hope for better than average results by buying new offerings, or ‘hot’ issues of any sort, meaning thereby those recommended for a quick profit

Graham, Benjamin (2003), p. 28

The present highly condensed treatment is directed to the needs of the nonprofessional investor… he should be equipped, if possible, to distinguish between superficial and sound analysis.

Graham, Benjamin (2003), p. 282

No matter which techniques they use in picking stocks, successful investing professionals have two things in common: First, they are disciplined and consistent, refusing to change their approach even when it is unfashionable. Second, they think a great deal about what they do and how to do it, but they pay very little attention to what the market is doing.

Graham, Benjamin (2003), p. 402

最後の引用の「what the market is doing」というのは株式市場において数秒単位で変化する銘柄の値動きのことを指していて、この本の文脈ではつまり、正しい分析に基づいて選んだ銘柄であれば株式市場の日々の動きに一喜一憂する必要はない、というメッセージです。

市場分析が必要ないという意味ではありません。

翻訳家を目指す人に当てはめるのであれば、「翻訳で簡単に稼ぐテクニック」などの情報に踊らされず、基本に忠実に日々勉強に励みましょう、というところでしょうか。

翻訳家になるための勉強については過去の投稿でも触れていますし、今後も書いていくつもりです。

特に、翻訳家として高いレベルを目指すなら、過去の投稿でも指摘した通り、読書は必須です。

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