稼げる翻訳者を目指すなら、身に着けるべきスキルや習慣は結構たくさんあります。
まず、本ブログで繰り返し触れている注意点です。
そもそも、「語学が得意」という概念は曖昧過ぎます。
Dr. 会社員の自分の経験に基づくと、翻訳者に最低限必要なスキルや資質は、以下の通りです。
- 原文を正確に読み解く力
- 案件に関わる分野の(専門)知識
- 常識
- 訳出先の言語での高度な記述力
- コンピューター リテラシー
- スケジュール管理力
- 自制心
目次
英日翻訳と「英語力」を切り離してみる
英語から日本語への翻訳者になりたい人は、英語検定の点数を翻訳業界に流用することを止めましょう。
確かに、応募時に英語検定の点数を尋ねる翻訳会社は日本に多いのですが、もうこれは形式上の質問と割り切った方が良いと思います。
日本の教育システムや英語学習業界で使われている「英語力」と英日翻訳で必要な「原文の読解力」は別物です。
本ブログの読者のほとんどが英日翻訳の希望者なので、この投稿では深くは言及しませんが、検定で測る「英語力」は、日英翻訳で必要な「訳文の記述力」とも少し違います。
英語検定や入試では、全く馴染みのない英文をいきなり提示され、試験当日までせっせと暗記した単語や文法や熟語を駆使して、暗号解読の様に答案に回答します。
しかし、翻訳ではこのような事態は起こりません。
出題者が期待する単語や熟語を覚えていればよい、というものではないのです。
また、翻訳作業で原文の一字一句を分析するのは、非効率的です。
翻訳で求められているのは、
原文のメッセージを
正確に捉えることです。
そして、自分だけが正確に分かれば良いのです。
英日翻訳においては、英語に関してこれ以上必要ありません。
この目的を達成するために、専門知識や常識が必要になります。
読者が理解できる訳文を書く
英語から日本語への翻訳の場合、訳文を書くステップではもはや「英語力」は必要ありません。
必要なのは「日本語での記述力」です。
ここでも、専門知識や常識は重要です。
原文を正確に理解した上で、想定される読者に合わせた語彙を正しく用いた訳文を、読みやすい日本語で書く必要があります。
翻訳者にしか理解できない翻訳文に、商品価値はありません。
コンピューター リテラシーは大事
翻訳業界では、割と高いコンピューター リテラシーが必要になります。
取引先毎に異なるプラットフォームを指定されるので、その都度対応しなくてはなりません。
会社によっては、非常に理解しにくい(慣れるまでは使いにくい)プラットフォームやアプリケーションを指定されるので、特定のソフトウェアの操作はバッチリ、というよりも、新しく目にするソフトウェアやプラットフォームを既存の知識を応用してすぐに使いこなせるコンピューター リテラシーが必要です。
翻訳業界で使用されているツールは、SDL社のTrados Studioをはじめとして、あまりintuitiveではありません。
フリーランス翻訳者は一匹狼なので、疑問が発生した時はネットを駆使して自力で何でも解決しなくてはなりません。
プラットフォームの操作でもたもたしていると、仕事になりません。
スケジュール管理と自制心も重要
納期が守れない翻訳者は、優良な取引先を次々と失うことになります。
案件を受ける際は、スケジュールを慎重に管理しましょう。
何事もギリギリまで先延ばしする癖のある人は、改善した方が良さそうです。
また、翻訳は頭をフルで使う仕事なので、バランスの取れた食事、規則正しい生活、適度な運動を心掛けましょう。
心身共に、できるだけ常にベストな状態でいられるようにする必要があります。
稼げる翻訳者になりたいのであれば、
高い自制心を身に付けましょう。
家で仕事しているからといって、午前中はずっとSNSやニュースを読みふけり、午後もしくは締め切り時間近くになってから全力投球などというパターンはアウトです。
作業中に私用メールやSNSの通知をだらだらチェックするのも、仕事の質を下げるNG行為です。
不要な情報を次々と脳内に入れることで、脳が疲れてしまい、本当に必要なことに全力投球できなくなります。
良い案件がいつ入ってくるか予測不能なので、二日酔いも避けた方が良いでしょう。
長期間かけて築いた信頼関係が、寝不足や二日酔いの頭で作業したために生じたミスで、簡単に瓦礫と化します。
まとめ
今回の投稿では、それなりに稼げる翻訳者を目指すのであれば、身に着けることをお勧めするスキルや習慣を説明しました。
これらを身に着けるのには時間がかかります。
また、身に着けた後も、維持・研鑽するために努力し続ける必要があります。