翻訳家になりたい人が、投資するモノ3つ

翻訳家になりたい人が、投資するモノ3つ

翻訳の仕事を始めるにあたり、投資すべきモノがあります。

英語力への投資では
ありません

翻訳の仕事をしてみようと思う時点で多分、現在以上の英語力を目指す勉強はとりあえず必要ありません

英語以外の言語で翻訳家を志す人は「英語」を他の言語に置き換えて読み進めてください。

もちろん、翻訳家として生きていくのであれば、語学の研鑽は一生を通して続けていかなければなりません。ただ、翻訳家になるという目的のために今から特別の英語学習をする必要はない、ということです。

巷の一般的な英語のテストの成績上位者20%くらいに限って言えば、テストという手段で測定できる英語力と翻訳のスキルに相関性はあまりないと思います。もちろん、一定の語学力は翻訳者には必須ですが、翻訳者としての能力は一般の英語力テストでは測りきれない、ということです。

翻訳者には
一定の語学力が必要です

他の投稿でも述べましたが、翻訳家になりたいと思っている時点で、たいていの人にはすでに十分な英語力があるので、翻訳家として差別化を図る際に英語力は武器になりません

今回の投稿ではより実践的な観点から、翻訳家としてデビューするにあたり同じスタートラインにいる人たちと差をつけるため、英語力と翻訳スキル以外に投資した方が良いと思われるモノ3点を紹介します。


パソコン本体

パソコン本体

せっかく入って来た翻訳の仕事のチャンスを逃さないためにも、パソコンは新しく高性能なものを購入しましょう。別の投稿でも説明していますが、多少奮発しても経費として申告できます

「高性能」なパソコンというのはつまり、翻訳の仕事を支障なくこなすにあたり十分な機能を備えているパソコン、という意味です。不必要な機能を満載した高額なパソコンを購入する必要はありません。

WindowsでもMacでも構いませんが、翻訳会社各社が取り扱っているファイル形式、ソフトウェア、オンラインプラットフォームなどを考慮すると、Windowsの方が無難です。

仕事用に一台用意するのが理想的です。


オフィスソフトとメールアドレス

オフィスソフトとメールアドレス

オフィスソフト

Microsoftのオフィスソフトで作成したファイルは、無料のGoogleオフィス機能(下の画像のパーソナルプラン)で変換・編集できますが、本気で翻訳の仕事をするのであれば、やはりMicrosoftのオフィスソフト(有料版)を購入することをお勧めします。

無料のGoogleオフィス機能
Googleのオフィスツールは、基本的なものは無料で使えます
Source: Google

翻訳の原文はMicrosoftのファイルか、PDF、その他の画像形式で送られてくることがほとんどです。

Microsoftのソフトウェアなしで翻訳の仕事をしようとすると、クライアントから送られてきたファイルを自分のパソコンでGoogleの形式に変換して作業し、作業後のファイルをMicrosoftの形式に再び変換し直してクライアントに返送することになります。

Googleのオフィス機能は素晴らしく、基本的にMicrosoftとの互換性はバッチリだとは思います。

しかし、Dr. 会社員はプロの翻訳家として商品を納入するにあたり、品質に責任を持っていたいと考えています。

そのため、原文ファイルの形式を変えずに作業・納品できるよう、基本のオフィスソフトは揃えています。

それに、何度もファイル形式を変換すると、不安になりませんか?

不安になるのであれば、その不安に費やす時間を減らしましょう

一方、翻訳対象のファイル以外の情報(用語集や進捗表など)は、Googleシートなどでクライアント共有することはあります。

Googleのオフィスツールはオンラインでの情報共有や自分用の情報管理には大変便利だと思います。


メールアドレス

個人用メールアドレスと仕事用メールアドレスは分けることをお勧めします。

さらに、仕事用のメールアドレスは有料のものを使用した方が良いでしょう。

@の後に自分のビジネス名(屋号)を入れられるので、取引先への印象が良くなります。

また、フリーメールのセキュリティは大分向上しましたが、それでもやはり有料のものと比べるとやや劣ります。

また、取引先に送ったメールのドメインがフリーメールだと迷惑メールフォルダに自動的に振り分けられてしまうことがあります。

さらに、案件を定期的に受注するようになり、海外とも取引をするようになると、24時間お構いなしにメールが来ます。

こうなると、自分がオフラインの間に自動応答を設定する必要が生じます(Dr. 会社員は設定しています)。

その場合、個人メールと仕事メールを分けていると便利です。

仕事用メールアドレスは今必要なくても、後に必要となった場合が面倒です。

既存の取引先にわざわざ「メールアドレスが変わりました」と連絡しなければならず、手間が増えます。


作業空間

作業空間

ダイニングテーブルの片隅やベッドの上、カフェなどで翻訳の作業ができると考えているのであれば、その発想は今すぐ改めた方がいいと思います。

生計を立てるほどの収入を翻訳で得ようとする場合、一日の大半をパソコンの前で過ごすことになります。椅子やキーボード、マウスも質の良いものにしないと、体に悪影響を及ぼします

腱鞘炎や腰痛は翻訳家の職業病です。予防の方が治療より安く済みます

前述のパソコン本体に加えて、モニターも大きくて見やすいものを購入した方が良いでしょう。目にも良いですし、誤訳や訳抜けも減ります。

翻訳はパソコン一台でどこからでもできる、という意見はネット上で時々見かけます。

まあ、できないことはありませんが、

公共の場所で
公共のWi-Fiを使って
翻訳の作業をするということは
取引先との守秘義務に
違反している可能性がある

ということは覚えておいた方が良いでしょう。

Dr. 会社員はあるクライアントから非常に機密性の高い資料の翻訳を依頼されています。

ここのクライアントからの仕事は必ず機密性を確保できる場所で、一定の基準を満たすウイルス対策ソフトをインストールしたパソコン上でのみ作業する、という約束になっています。

つまり、ここのクライアントからの案件は、自分のいつもの仕事場以外で作業できないのです。


まとめ

まとめ

今回の投稿では、翻訳家になりたいのであれば英語力や翻訳スキルの勉強以外に投資した方が良いと思われるモノ3つを紹介しました。

パソコン本体

オフィスソフトと
メールアドレス

作業空間

全てを一度にそろえるのは無理があると思いますので、上記を念頭に、翻訳家として活躍するための準備を少しずつ整えていくと良いでしょう。

翻訳家になるには、語学力と翻訳スキル以外にも注意を向けるべき点がたくさんあります。