英語から日本語への翻訳の求人市場では、何故か「英語力競争」が常に熾烈に繰り広げられています。
しかし、本ブログで何度も説明している様に、英語から日本語への翻訳に、抜群の英語力は必要ありません。
日本語から英語への翻訳であっても、シェークスピアの様な英語を書く必要はないので、オタク級の知識は要りません。
今回の投稿では、英→日翻訳の仕事を得るために語学検定で頂点を目指す必要がない理由を説明します。
目次
難解な言葉では意思疎通できない
コミュニケーションで難解な言葉を使うと、意志疎通できません。
翻訳対象の原文は、読み手を想定して書かれています。
英語から日本語への翻訳の場合、原文である英語は当然、英語スピーカーの読み手を想定して書かれています。
「読み手を想定して書かれた」英語を日本語に訳すのが、和訳の作業です。
この当たり前の事実を無視すると、間違った方向で翻訳の勉強を続けることになります。
難関と言われる英語検定の問題は、非常に複雑で難解な英文や、一般人が一生使うことのない語彙が満載です。
確かに、難関の語学検定に合格したり高得点を取るには、相当な努力が必要です。
しかし、語学検定に必要な知識と翻訳に必要なスキルは別物です。
英語から日本語への翻訳で、英語ネイティブでさえも一生使わないような表現や語彙をマスターする必要はありません。
言語オタクしか理解できないような文章がビジネスやマーケティングに使用されるわけがありません。
実務で使われる文章は、「読者がすぐ理解できる」内容でなくてはなりません。
複雑な構文や珍しい語彙を使用したひっかけ問題の様な文章をマーケティングに使用したら、商品が売れません。
英語に限らず、日本語の場合でも同じです。
日本語検定一級に使用される様な日本語を日常生活で使っている日本人が、どれだけいるでしょうか。
レアな日本語は、教養として知っておくのは良いと思います。
しかし、一般的なコミュニケーションでオタク級の言葉を使うと、日本人同士でも意思疎通ができなくなります。
大事なのは、普通の日本語が書けること
英→日翻訳の仕事を探している人の多くが、「高い英語力」をアピールして競い合っています。
しかし、和訳の決め手となるのは日本語です。
Dr. 会社員が実際に今まで見てきた限りでは、ダメな和訳を書く人のほとんどが、英語を理解できていないのではなく、変な日本語を書いています。
英文法が和訳に忠実に再現され過ぎて、日本語ネイティブが読んでも意味が分からない文章になっている訳文を、頻繁に見かけます。
変な和訳には、以下のような表現が無駄に使われている傾向があります。
- 「対しては…」「ついては…」「関しては…」(前置詞を苦し紛れに訳出)
- 「一つまたは複数の…」(翻訳感が溢れすぎ)
- 「いくつかの」「あらゆる」(同上)
- 「それ」「それら」「彼ら」「あなた」(メッセージを日本語で考えていない典型例)
和訳の仕事がしたいなら、まずは読みやすい日本語をマスターする必要があります。
翻訳では、原文を一言一句日本語に置き換える必要はありません。
まとめ
今回の投稿では、英語から日本語への翻訳の仕事を得るために「英語力」で競うのは効率的でないとDr. 会社員が考えている理由を説明しました。
もちろん、英語が一般的なレベルで理解できないと英語を訳すことはできません。
そうは雖も、一般的なレベルを超えて、英語検定の頂点まで目指す必要はありません。
和訳の仕事を求めて英語検定で頂点を目指している人は、そこに注いでいるパワーのベクトルを見直す必要があるのでは、とDr. 会社員は思います。