翻訳支援ソフトは本当に必要なのでしょうか?
Dr. 会社員は過去の投稿で、本気で翻訳の仕事をするなら翻訳支援ソフトを購入した方がいい、と書きました。
では、駆け出し翻訳者はどうなのか。
今回の投稿では、駆け出し翻訳者が翻訳支援ソフトを購入すべきかどうかについて分析します。
目次
結論:駆け出し翻訳者には不要
大量の翻訳案件を常時抱えている翻訳者にとっては、翻訳支援ソフトは非常に便利なツールです。Dr. 会社員自身も、一定の取引先からの案件にはいつもTradosかWordFastを使っています。
しかし、翻訳の仕事を始めたばかりの人には翻訳支援ソフトは必ずしも必要ではないと、Dr. 会社員は思います。
目安としては翻訳の仕事を初めて半年くらいは、翻訳支援ソフトの習得よりも優先して身に付けなくてはならない知識やスキルがたくさんあります。
駆け出しの時期に限って言えば、まずは翻訳の作業そのものに集中して訳文の質を向上させることを目指した方が良い気がします。
理由を説明します。
翻訳支援ソフトは高額
翻訳支援ソフトは基本的に高額です。
特にSDL社のTrados(トラドス)は業界でぶっちぎりです。
しかも、翻訳業界独特の業界用語やプロセスに馴染みのない人には意味不明な機能が満載です。
高額なだけあって、機能の数がとにかく多いのです。
日本の税法はよく分かりませんが、自営業であれば翻訳支援ソフトは経費として計上できるはず。
そうはいえども、ソフトを購入することでキャッシュフローがひっ迫するような状況は避けた方が賢明かと思います。
それに、中堅~大手の翻訳会社と仕事をすると、会社が独自で開発している翻訳用のクラウドプラットフォームを使うように指示されることがよくあります。
そういう会社と取引をしながら翻訳支援ソフトの「いろは」を学ぶのが効率的な気がします。
翻訳の質は人間の脳で決まる
翻訳支援ソフトを利用する主な目的は、あくまでも翻訳作業の支援です。
一定の表現が繰り返し使用される文書で翻訳支援ソフトを使用すると、以下の様なメリットが得られます。
- 訳文の言い回しや言葉の均一性を保つ
- 訳にかける時間を短縮する
例を挙げます。
Press [Enter] to return to the Home page.
という英文が何度も出てくる場合、出てくる度に訳が毎回違うとクライアントによっては嫌がられます。以下にバリエーションを挙げます。
Homeページに戻るには、[Enter]を押します。
Homeページへ戻るには、[Enter]を押してください。
[Enter]を押してHomeページに戻ります。
翻訳支援ソフトがなくても翻訳は可能
究極の理由はこれです。
翻訳支援ソフトを活用することで作業効率の向上は図れます。
しかし、以下の要素を向上させることはできません。
- 翻訳の正確性
- 訳文の美しさ
現状でこれが一番うまくできるのは、日本語と英語のペアに限って言えば、人間の脳でしょう。
翻訳支援ソフトについては他の投稿で色々と説明しているので、興味があったら読んでみてください。