翻訳者になりたい理由は、人によって様々でしょう。
Dr. 会社員が今まで見てきた限られたサンプルの中だけでの話ですが、動機によっては翻訳者として成功しやすい人と、そうでない人がいる様です。
目次
翻訳者として成功できそうな人
プロの翻訳者として成功しやすい傾向がある人は、翻訳そのものに関心がある人です。
翻訳は二つの言語をつなぐ、コミュニケーションです。
書き手の意図をくみ取ることと、読み手にメッセージを伝えることに関心があり、得意でないと、この仕事はできません。
成功しやすい人はまた、母語で文章を読み書きすることにも関心があり、得意である人です。
日本語が母語の人であれば、日本語で文章を読み書きすることに関心があり、得意である人、ということです。
母語の運用力は
言語によるコミュニケーションの
基本です
更に、母語の運用力が抜群に高くないと、外国語の運用力は身に付きません。
翻訳者として成功しにくい人
成功しやすい人と対照的に、成功しにくい人の傾向もあります。
成功しにくい人は、翻訳そのものに関心があるのではなく、「語学力を活かしたい」というのが翻訳者を目指す動機である人です。
また、「スキマ時間で稼ぎたい」という人も、翻訳業界からあっという間にいなくなる傾向があります。
この傾向は特に、日本語と英語のペアで多く見られます。
英語力を放置するのはもったいない?
英語力を「活かしたい」という人の多くは、学生時代や社会人になりたての頃に、自分が心から関心があって選んだのではなく、学校(政府)・親・雇用主といった外部からの圧力や影響で英語を勉強しています。
英語の点数が良いことで、キャリアアップや周囲からの賞賛につながるため、英語力=社会的ステータスと無意識に脳に刷り込まれている人達です。
語学検定や入試で測定できる英語力は、母語の日本語がさほど強くなくても、テクニックと暗記でかなり高い点数が取れます。
とはいえ、語学検定や入試で高得点を取るのにはかなりの努力が必要です。
そのため、
- 英語力を「宝の持ち腐れ」にしたくない
- 今まで費やした時間と労力のリターンが欲しい
という欲求を無意識に抱えている人も翻訳者になろうと考える傾向がある様です。
このタイプの人は大抵、副業としてスキマ時間にちゃちゃっと稼ぐ、と考えているようですが。
また、日本の教育システムの中で他者との比較を基準とする競争心が度を超えて育った人も、「自分の英語力を再確認」という自己満足のために翻訳で稼いでみようと思う人がいる様です。
英語を使ってお金が稼げる
=
自分の英語は偏差値60
といった感じの発想でしょうか。
翻訳は専門職であり、顧客の役に立つ納品物を作成して報酬を得る仕事です。
自己中心的な欲求を満たすことが翻訳者を目指す動機の根底にある限り、良い翻訳は書けません。
まとめ
今回の投稿では、翻訳者になりたい理由をいくつか分析しました。
翻訳者を目指す動機次第で、長期的に成功しやすい人と、成功しにくい人に分かれる気がします。
本ブログで何度か説明した様に、検定で測定できる語学力は、翻訳のキャリアに流用できません。