トライアル対策が必要な会社には応募しない

トライアル対策が必要な会社には応募しない

登録を希望する翻訳者に翻訳会社がトライアルを課すのは、日本では一般的な慣行の様です。

日本の外でも、登録を希望する翻訳者にトライアルを課す会社はありますが、日本の様子は少々特殊に見えます。

翻訳会社のトライアルに合格することを目指す人をターゲットにした商売が成立しているからです。

翻訳会社多数からトライアルの過去問を集めて分析したわけではないので、はっきりとしたデータは手元にありません。

しかし、「難関トライアル」とか「合格率〇〇%」といった表現が使われている会社のトライアルには傾向がある気がします。


トライアルの模範解答がある

トライアルの模範解答がある

合格率(計算方法は不明)が公表されていたり、対策が必要だったりするトライアルを課す会社のトライアル文には、入試の様に模範解答があり、チェックすべき構文や語彙が事前にリストアップされているのではないか、という気がします。

翻訳文全体の品質を評価する、というよりも、事前に準備されたチェックリストに沿って、提出されたトライアル文を機械的に評価している可能性があります。

高校・大学の入試と同じ仕組みです。

そのため、日本ではトライアル対策が商売として成立しやすいのでは、とDr. 会社員は感じています。

これはつまり、日本の翻訳会社の一部では、トライアル文に「傾向」なるものが発生しているかもしれない、ということです。

その結果、高校・大学の入試や語学検定と同様に「傾向と対策」シリーズがビジネスとして成立しているのではないでしょうか。

トライアルの例文を探している人までもが出てきています。

過去問の検索と同じ現象です。

Dr. 会社員は、日本国外でこのような現象を目にしたことがありません。


実務と解離したトライアル

実務と解離したトライアル

傾向と対策で合格が狙えるトライアルに合格しても、実際の仕事にはつながりません。

翻訳のスキルは
傾向と対策で
身に付くものでは
ないからです

翻訳の実務では、特定の構文には特定の訳を公式の様に当てはめるという、パターン化した作業は役に立ちません。

ひょっとすると、機械翻訳を取り入れた激安価格のローカライゼーションでは、パターン化された訳を指示されるのかもしれません。

また、一部の特殊な分野の翻訳では、この構文にはこの訳文、というセットがあるのかもしれません。

しかし、プロとして生計を立てていくレベルの翻訳では一般的に、構文分析に基づいてパターン化された翻訳が多用されていると、不自然なため価値があるとはみなされません。


まとめ

まとめ

今回の投稿では、トライアル対策が必要な会社に応募することはお勧めしない理由を説明しました。

翻訳の実務では、傾向と対策は存在しません。

傾向と対策が必要なトライアルに合格するスキルを磨くことと、商品になる翻訳を作成するスキルを磨くことは、別次元です。