腕の良い翻訳家を遠ざける悪癖

腕の良い翻訳家を遠ざける悪癖

翻訳業界には、大きく分けて4種類の翻訳者がいます。

  • 自信があり、腕も良い翻訳者
  • 自信はないが、実はそこそこ腕が良い翻訳者
  • 自信はあるが、実は腕が良くない翻訳者
  • 自信がなく、腕も良くない翻訳者

言うまでもなく、翻訳会社やソースクライアントが最も確保したいのは「自信があり、腕も良い翻訳者」でしょう。

多少譲歩して、「自信はないが、実はそこそこ腕が良い翻訳者」でも良いかもしれませんが、自信がない人と仕事をすると誤解や勘違いが生じ、面倒な展開になることがあります。

なお、日本人は「自信 (confidence)」と「傲慢 (arrogance)」をはき違えている人が多いのですが、この二つの言葉の意味は異なります。

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「翻訳学校で習った」は、言い訳

「翻訳学校で習った」は、言い訳

Dr. 会社員は基本的に、他人の翻訳をチェックする依頼はお断りしていますが、極まれに引き受けることがあります。

引き受けるときは、できるだけ自分が得意な分野の文書をチェックするようにしています。

Dr. 会社員が専門にしている分野では数字を頻繁に扱います。

この分野では、文章が自然に書かれているか、誤字脱字がないか、という点に加え、訳文に書かれた数字の辻褄が合っているかどうかを注意してチェックする必要があります。

数字を扱う文書では、訳文が美しく書かれているか、ということよりも、数字が正確に書かれていることの方が大事だと言っても過言ではないでしょう。

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投資で成功したいなら、他人に頼るな

投資で成功したいなら、他人に頼るな

2022年の世界的なインフレを受けて、日本の貧困化がようやくメディアで本格的に取り上げられました。

日本の貧困化は主に給与所得者が対象です。

給与が上がらないことが日本国民全体の貧困化に大きく寄与しているので。

資産をたくさん持っている富裕層や上手くいっている経営者は、貧困ではありません。

日本は給与所得者が多いので、圧倒的マジョリティの給与所得者と、給与以外の収入源がある富裕層とのギャップが広がっているというのが、より現実に即した見方かと思います。

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かかわると面倒な展開になる翻訳案件

かかわると面倒な展開になる翻訳案件

翻訳の案件は千差万別です。

業界や文章スタイルなど、非常に多岐にわたるので、翻訳の案件を打診された際は、引き受ける前に自分が得意な分野やスタイルであるかを慎重に吟味する必要があります。

Dr. 会社員は自分の得意な分野以外の案件はほとんど受注しません。

さらに、自分の得意な分野の中でも可能な限り避けているタイプがあります。

基本的に、以下の二種類はほとんど絶対に引き受けません

  • 著者の「思い」が込められた文章
  • 校正前、出版前の論文
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翻訳者は「No」が言えて一人前

翻訳者は「No」が言えて一人前

翻訳の仕事を楽しく続けていくには、必要な時に「No」を言うことが非常に大切です。

フリーランス翻訳者の場合、自分の専門外の案件を依頼されることがよくあります。

また、受注産業なので、仕事が発生するタイミングも選べません。

上記の様な性質があるため、翻訳業を始めて最初の1~2年くらいは、仕事を選ぶ余裕がないかもしれません。

しかし、「何でも屋」の翻訳者を何年も続けていると、どの分野も中途半端な訳しかできず、クライアントとの信頼関係も構築できなくなります。

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英日翻訳と日英翻訳の決定的な違い

英日翻訳と日英翻訳の決定的な違い

英語から日本語への翻訳も日本語から英語への翻訳も、「英語力」があればどちらもできそうな感じがします。

しかし、実際はちょっと違います。

両者に共通しているのは、どちらの方向であろうが言葉を扱うセンスが欠けていると商品になる訳は書けない、ということくらいでしょうか。

Dr. 会社員が実際に英日、日英両方で仕事を受けていて感じる両者の決定的な違いは、英→日では翻訳の本質以外に気にしなくてはならない点が多い、ということです。

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出版翻訳家になりたいと思わない理由

出版翻訳家になりたいと思わない理由

翻訳には様々な分野があります。

成功している翻訳者のキャリアステップによく見られるのは、将来自分が専門とすることになる分野で学歴や職歴を積みつつ二言語の運用力を高めていくというパターンです。

語学の学習 → 専門知識の習得ではありません。

逆です。

この「上手くいってる翻訳者」のパターンだと、出版業界にかかわる可能性は非常に低くなります。

ただ実際は、翻訳のプロフェッショナルとして生計を立てている人で、出版翻訳をやりたいという人はほとんどいません。

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DeepLは翻訳者の敵ではない

DeepLは翻訳者の敵ではない

近年、「DeepLやGoogle Translate(et al.)vs. 翻訳者」という対立構造をよく目にします。

(ニューラル)機械翻訳に仕事を取られるという恐怖がこういう対立構造を導くのかもしれません。

そのためか、納品された訳文がDeepLやGoogle Translateの生成する訳文と同じ、もしくは酷似している場合、本当に偶然の一致であったとしても、その訳文を手掛けた翻訳者は激しい批判を浴びることになるようです。

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日本人の翻訳チェッカーに多い問題行動

日本人の翻訳チェッカーに多い問題行動

Dr. 会社員は英語–日本語の翻訳(両方向)を生業としています。

よって、英語ネイティブと日本語ネイティブの両方からフィードバックをもらっています。

Dr. 会社員は日本語から英語への翻訳が全体の80%位なので、自分の英訳に英語ネイティブからフィードバックをもらう機会が最も多くなります。

英語ネイティブからもらう英訳のフィードバックの次に多いのが、日本語ネイティブからもらう和訳のフィードバックです。

続いて、日本語ネイティブからもらう英訳のフィードバックです。

翻訳業に10年以上携わっていますが、英語ネイティブから和訳のフィードバックをもらったことはありません。

この3つの組み合わせで、最も意味不明なフィードバックが多いのが、日本語ネイティブからもらう和訳のフィードバックです。

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