翻訳で不自然な日本語を避けるコツ

翻訳で不自然な日本語を避けるコツ

翻訳とは、ある言語で書かれた文章を別の言語で表現する作業です。

よって、原文の文法構造や論理に引っ張られると訳文が非常に不自然になります。

機械による翻訳が不自然になりがちな主な理由は、ストックされた文法や語彙をパターン化して当てはめているからでしょう。

AIの様に、人間の脳に近い仕組みで判断を下す技術の導入が翻訳でも進んでいますが、翻訳業界で機械が完全に人間に置き換わるのは、まだ先のことだと思います。


英文法を和訳で再現

英文法を和訳で再現

日本の学校では、ほぼ文法訳読法(grammar-translation method)のみで英語を学習するため、日本人の書く英文和訳には大抵、英語の文法構造が生々しく反映されています

翻訳で収入を得たいなら、訳出先の文章を、訳出先の言語を母語とするライターと同じレベルで書くスキルを身に着ける必要があります。

つまり、英語から日本語への翻訳であれば、日本語のプロのライター(作家、ジャーナリスト等も含む)と同等の日本語ライティングスキルが必要、ということです。

日本語から英語の翻訳であれば、英語ネイティブとほぼ同等の英語ライティング力が必要です。

経験が浅い人やライティング力が不足している人が手掛けた翻訳は、見てすぐ分かります。

決定的な特徴がいくつかあるからです。

イマイチな和訳の特徴を、以下でいくつか紹介します。


指示語の直訳

指示語の直訳

イマイチな和訳の特徴の一つ目は、指示語が多用されている、ということです。

この点については、過去の投稿でも何度か触れました。

英語スピーカーは、同じ言葉の繰り返しを避ける傾向があります。

そのため、同じ対象を表現する場合に、別の名詞や、指示語(it, he, she, they等)を使います。

こういった用法をそのまま日本語に置き換えると、無料の機械翻訳のような訳文になります。

例を挙げます。

People were gathering around a dog,
patting it,
and smiling into its face.

上記の文を訳す際に「it」を直訳しても、英語関連の試験や学校のテストではOKです。

しかし、商売としての翻訳ではアウトです。


名詞句の多用

名詞句の多用

イマイチな和訳の特徴の二つ目は、名詞句が多用されている、ということです。

英語では無生物主語が使用される等、日本語よりも名詞句が頻繁に用いられます。

英語の名詞句をそのまま日本語にすると、無料の機械翻訳のような仕上がりになります。

人間の翻訳者が手掛けた訳ですら、以下のようなものを目にすることがあります。

本デバイスの充電中であっても、
データ送信を実行することができます。

こういった和訳を見て、何が問題なのかが分からない人は、英語力ではなく、日本語力に問題があります


まとめ

まとめ

今回の投稿では、不自然な和訳の特徴と、不自然な日本語を避けるコツを紹介しました。

変な和訳の要素は他にもまだまだありますが、上記が代表例です。

翻訳では、原文の解釈はもちろん大事ですが、訳文の記述を甘く見てはいけません

特に、英語から日本語への翻訳で仕事を探している日本人には、日本語の記述に意識を向けていない人が多い気がします。