翻訳者の人口と、稼げるかどうかは別問題

翻訳者の人口と、稼げるかどうかは別問題

翻訳者の人口が多くなればなるほど、翻訳者として稼げる可能性が低くなる、というのは現実を無視した発想です。

スキルの高い翻訳者の人口が多くなればなるほど、翻訳者一人当たりの出番が少なくなる、というのがより正確な表現かと思います。

スキルの高い翻訳者になるには、とてつもない時間と努力が必要です。

そのため、翻訳者になりたいと思っていても、現場で戦力になる翻訳者になる前に脱落する人がほとんどなので、翻訳者が多すぎて自分にチャンスはないかも、と心配するのは時間の無駄です。


翻訳界に、限られたパイの争奪戦はない

翻訳界に、限られたパイの争奪戦はない

マーケティングや社会経済学では「限られたパイ」という表現がよく使われます。

因みに、麻雀のパイではありません。食べ物のパイです。

英語と日本語のペアでは特に、翻訳ができる(かも)という人が、日本列島北から南まで大勢いるので、翻訳の仕事(パイ)の争奪戦が繰り広げられていると感じる人はいるかもしれません。

翻訳の仕事の量は、当然ですが、発注される案件の量に連動しています。

そのため、仕事の数は有限、ということになります。

確かに、発注される仕事の量は有限です。

しかし上述の通り、商品になる訳文を書けるスキルを持つ翻訳者が限られているため、パイの奪い合いという状況は今のところ発生していません。


パイの取り合いは多分、激安翻訳だけ

パイの取り合いは多分、激安翻訳だけ

限られたパイを巡って熾烈な争奪戦が繰り広げられる可能性があるのは、恐らく激安翻訳だけだとDr. 会社員は思っています。

クライアントが高額な料金を払って翻訳を依頼する場合は、かなり厳選された翻訳者が登用されるので、仕事の争奪戦はそこまで激しくありません。

論文の英訳・校正サービスの場合は一部でちょっと事情が違うようですが…。

もちろん、いくら争奪戦がないとはいえ、翻訳者が仕事の依頼に常識的なスピードで反応しなければ受注には至りません

ただ、翻訳のスキルを伸ばす上で、他者がいることで成り立つ競争環境に身を置く必要はありません。

絶対的に高い能力を持つ翻訳者の数は限られているので、まともな翻訳会社はどちらかというと翻訳者がいなくて困っている、というのが現状ではないでしょうか。


まとめ

まとめ

今回の投稿では、翻訳者の人口と、自分が稼げるかどうかは別問題、ということについて説明しました。

業界の動向に純粋に興味がある、もしくは翻訳スクールの経営戦略を考えるために、翻訳者の人口を調べるのであれば、それなりに意味があるのかもしれません。

しかし、自分が翻訳者としてデビューできるかどうかの可能性を推し量る上で翻訳者の人口を調べても、あまり意味がない気がします。