プロの翻訳家として儲けたいなら、お金をモチベーションにしない方が良いと思います。
翻訳で稼げないことを愚痴っている人の多くは、お金に執着しています。
矛盾している様に聞こえるかもしれませんが、そういうものなのです。
仕事が楽しく順調で、売上が伸びたことが結果としてモチベーションとなった、というのはアリですが、逆の論理は良くありません。
お金に執着すると
儲かりません
また、お金に執着している人は、同類を引き寄せます。
スピリチュアルな話ではなく、世の中はそういうものなのです。
翻訳に限らず、どんな職業でも同じことが当てはまります。
顧客の立場になってみれば、すぐ分かります。
以下に挙げる様な人達を、信用できますか?
- 儲かるから医者になった
- 儲かるから弁護士になった
- 儲かるから政治家になった
- 儲かるから起業した
目次
一番大事なのは、言葉への情熱
翻訳業で成功する上で最も重要なのは、言葉に対する情熱です。
二言語を使ったコミュニケーションが心底面白いと思えないと、この仕事を続けることはできません。
特に、英語から日本語への翻訳ではチェッカーから意味不明なフィードバックや失礼なコメントを受け取ることが多いため、感情に振り回されず、翻訳に没頭できるだけの情熱が必要です。
英語から日本語への翻訳には、翻訳ができない翻訳者がものすごい数参入しています。
翻訳ができない翻訳者の多くはチェック部隊に配属されます。
ここで何が起こるかというと、翻訳ができる翻訳者が手掛けた和訳が、翻訳ができない上にチェックもできるかどうか分からないチェッカーに検品される、という事態です。
どんな言語ペアで翻訳の仕事をしていても、意味不明なフィードバックに正論で応対しなくてはならない場面は度々発生するのですが、英語から日本語への翻訳ではその頻度が非常に多い気がします。
Dr. 会社員が受注している案件で英語から日本語への翻訳は全体の約2割なのですが、日本語から英語への翻訳よりもずっと高い確率で変なフィードバックをもらいます。
変なフィードバックが多い取引先とは徐々に距離を置いたので、最近はあまりもらわなくなりましたが。
また、日本語ネイティブのクライアントには翻訳者に高圧的な態度をとる人がなぜか多いので、日本語が関わる翻訳業に携わる場合、翻訳そのものが好きでないと、続きません。
お金がモチベーションだと、すぐ飽きる
翻訳家を目指す動機がお金だと、すぐ飽きます。
動機がお金の人は、翻訳そのものが好きなわけではなく、宝の持ち腐れになりそうな語学力をスキマ時間で活用して稼ぐ、という発想の人が多い様です。
稼ぐことが目的の人は
すぐに稼げないと
あっという間に
嫌になります
しかし翻訳では、簡単に登録できて、簡単に仕事が入ってくる場合程、収入に繋がりませんし、取り扱う文書も面白みに欠けるものが多い傾向があります。
例を挙げると、アプリや何らかのプラットフォームのUI画面の単語をひたすら訳す、といった案件があります(ローカライズ翻訳、というこじゃれた呼び方があります)。
- 「次へ」
- 「戻る」
- 「よろしいですか?」
- 「確認」
- …
といった言葉の羅列をひたすら訳すといった案件です。
また、原文に文脈がなく、メッセージが全く分からない案件もあります。
本当に言葉が好き、翻訳が好き、という人は多分、こういう案件は受けません。
こういう小銭稼ぎ系の案件程、納品後しばらくたってから「半角文字と全角文字の間に半角スペースを入れてくれ」といった感じの細かいリクエストが来る傾向があります。
こういったリクエストには、無償で対応しなくてはなりません。
無償、です。
まとめ
今回の投稿では、翻訳で儲けられない場に考えられる原因の一部を説明しました。
翻訳は職人技であり
翻訳業は自営業です
よって、職人としての仕事への情熱と、顧客の役に立つという商売人としての心構えの両方が必要です。
お金への執着は、翻訳家を志す上で最もマイナスな要素だとDr. 会社員は思っています。