プロの翻訳家を目指すなら、専門分野を持った方が絶対に有利です。
翻訳は言葉のプロフェッショナルなので、語学の得意な文系出身者の間で常に人気の職業です。
日本人の文系出身者の多くは、文系の知識が活かせる分野での英語から日本語への翻訳を希望する傾向があります。
もちろん、これは自然なことです。
翻訳業界では、訳出先の言語が母語の翻訳者が基本的には好まれます。
そのため、一般的な文書はもとより、アートやマーケティング、観光といった分野の英日翻訳(特に激安翻訳)は、翻訳者で溢れかえっています。
現状が現状なので、文系出身であっても理系の分野の翻訳者を目指すことで、競争をある程度避けられることは間違いありません。
医療分野の翻訳は、製薬や薬理では化学の知識が必要ですが、日常の臨床や公衆衛生等では文系出身者でも十分に対応できると思います。
目次
理系より不利だと洗脳されている
文系出身者は、医療を専門とする翻訳者を目指す上で理系出身者より不利なポジションにいると思いがちです。
そんなことはありません。
文系・理系を問わず医療関係の業界経験者や元医療従事者であれば、間違いなく有利だとは思います。
また、理系といっても対象は幅広く、理系であれば誰もが人体や病気についての深い知識を持っているわけではありません。
また、文系出身者の多くは、理系出身者と比較すると、言葉の運用力が高い人が多い(はず)なので、翻訳のコツを早くつかめるかもしれません。
とはいえ、理系出身者と比較して、文系出身者に見られがちな問題はあります。
やはり数字が苦手なのかも
Dr. 会社員は医療分野では基本的に日本語から英語への翻訳しか受けないので、英語から日本語への翻訳はほとんどノータッチですが、英語から日本語への医療分野の翻訳をチェックしたことは過去数回あります。
この中で、文系出身と思われる人が犯しがちなミスにいくつか気付きました。
まず、重量なのか質量なのかがよく分からない訳文を書く人がいます。
この対策として、物理を一から復習する必要はありません。
Dr. 会社員は物理の先生ではないので上手く説明できませんが、100 gと100 mL の違いがどういうことか、という程度は分かっておいた方がいい、というレベルです。
また、上昇と下降、増加と減少といった、対になるべき言葉がバラバラになっている人も割といるようです。
特に気になったのが、割合を理解していない人がいることです。
例えば、変化率が不思議な書き方で使われている訳文を見たことがあります。
発症率は
20%から22%への
変化率だった
といった感じだったと記憶しています。
これでは意味が分かりません。
また、英語と日本語は数のシステムが違うので、大きな数字を扱う場合(10,000~)には特に、どちらの方向の翻訳でも慎重に訳す必要があります。
医療に限らず
実務翻訳で
数字のエラーは
痛恨の一撃です
まとめ
今回の投稿では、Dr. 会社員の独断と偏見による「医療翻訳を目指す文系、あるある」を紹介しました。
医療関係の翻訳は、文系出身者でもトピックへの関心と向上心があれば十分活躍できる分野だと思います。
専門がない状態で、翻訳者で過密状態の激安翻訳でもやもやするより、何らかの分野で知識を深め、ニッチを狙うのは、有効なビジネス戦略と言えるでしょう。