翻訳家デビューは、40代が無難かも

翻訳家デビューは、40代が無難かも

翻訳は若い人に向いていない仕事です。

何故なら、翻訳では語学力以上に表現力と教養が大事だからです。

検定や入試で測定できる「語学力」は、暗記がメインなので若い人の方が高いスコアを取りやすいかもしれません。

しかし、検定や試験で測れる語学力と、メッセージを理解するコミュニケーション力と読みやすい訳文を書く表現力は別次元です。

前者は定量的、後者は定性的なスキルです。

翻訳家に必要なスキルという話になると「高度な語学力」ばかりにスポットライトが当てられがちですが、実際はちょっと違います。

「語学力」が大切であることは間違いありませんが、翻訳において「語学力」以上に重要となるのは、原文の読解力と訳文の記述力(表現力)です

これが、まともな収入を翻訳で得ることは若い人には難しいのでは、とDr. 会社員が考えている理由です。

因みに、「まともな収入」とは、納税後に手元に残る金額が最低300万円あたりをベンチマークに考えています。

現在の日本人の平均的な生活水準を考えたら、この位ではないでしょうか。


翻訳には業界経験と人生経験が必要

翻訳には業界経験と人生経験が必要

翻訳家デビューを果たした後スムーズに収入が得られる人のほとんどは、何らかの業界で十分な知識を既に吸収しているはずです。

若過ぎる段階で翻訳業だけに集中すると、語学以外の知識や教養を吸収する機会を逃します。

Dr. 会社員は自分が実際にサラリーマンとして働いていた業界(と、それに関連して大学院で学んだ内容)に関係する日→英案件ばかりを受注しています。

もちろん、新卒でいきなり翻訳業を始めたわけではありません。

業界の知識と英語の記述力両方を身に付けるのに、日本で学士号を取得してから10年以上かけています。

語学ができるだけの人が訳した文章の多くは、原文の文法が訳文に忠実に再現されているだけで、訳文だけを読むと意味が分かりません

翻訳には業界経験だけでなく、人生経験も必要です。

読み手に伝わる文章を書く力は、読み書きを通したコミュニケーションを通して見に付きます。

和訳でも英訳でも、プロフェッショナルとは程遠い言い回しを度々見かけます。

加齢が表現力の向上に直接結びつくわけではありませんが、歳を重ねるにつれコミュニケーションの経験値は上がっていくことが多いので、それに伴って表現が洗練されていくのが一般的な傾向です。

日々の生活で聞いたり読んだりする様々な表現の微妙なニュアンスに意識を向け、自分でも実際に使ってみることが、表現力アップのコツです。


メディアの情報は話半分でいい

メディアの情報は話半分でいい

日本のメディアでは何故か、翻訳家は出版、エンターテインメント業界で主に活躍しているというイメージが強調されています。

しかし実際に翻訳で収入を得ている人のほとんどは、エンタメ系ではありません。

もっと地味です。

翻訳=映画、小説、ドラマなどのエンターテインメント・出版業界という図式は、メディアが作った虚構です。

字幕や小説の翻訳は、翻訳業界の中ではかなり特殊な分野です。

この分野の翻訳家になりたい人は、翻訳スキル以上に人脈作りに力を入れた方が良いかもしれません。

この人脈作りも、若い人にはなかなか難しそうです。

もしくは、翻訳家になる前に作家デビューした方が、最初から翻訳家として仕事を探すより小説や映画字幕の案件をゲットしやすい気がします。

文筆家となることで、出版・メディア業界と繋がりができるかもしれないので。


まとめ

まとめ

今回の投稿では、翻訳家デビューは40代が無難では、とDr. 会社員が考えている理由を説明しました。

40代というのは、あくまでもDr. 会社員の主観なので、もう少し若い人でも翻訳家として十分活躍できる人はいると思います。

とにかく、若過ぎる段階で翻訳業に集中しすぎると、「検定で測れる語学力以外にセールスポイントがないが翻訳家になりたい人」となってしまう可能性があることは否めません。

翻訳業には複合的な知識やスキルが必要なので、一見遠回りでも語学以外の分野も併せてじっくり修行を積むのが、結果的には最短コースかもしれません。