日本語は、ネイティブスピーカーですら使いこなすのに苦労する言語なのかもしれません。
Dr. 会社員は、英語から日本語への翻訳をほとんど引き受けていません。
翻訳チェックも、割に合わない仕事が多すぎるので、ほとんど引き受けません。
それでも、ごくごく稀に和訳のチェックを引き受けると、本当にヘンテコな表現を多数目にします。
正直、何故こんなにもヘンテコな日本語を書く人が和訳の仕事をしているのだろう、と不思議に思うくらいです。
ただ、翻訳者でなくても、日本人にきれいな日本語を書ける人がそもそも物凄く少ないのでは、という気もします。
目次
日本語は意思疎通に向いていない
日常生活で目にする日本語を注意深く読んでみると、日本人が書いた日本語の文章ですら意味が分からないものが多いことに気付きます。
公的機関が発行している文章にも、日本語ネイティブが読んで意味が分からないものがたくさんあります。
日本の役所で手続きが一回で終わることが基本的にあり得ないのは、上記が一因だとDr. 会社員は思っています。
いつだったか忘れましたが、Dr. 会社員が英訳した公的文書に、以下のような表現がありました。
「併用適用時併用薬チェック」
この表現を見て、意味がさっぱり分かりませんでした。
そのため、ネットで色々と調べました。
「併用適用時併用薬チェック」とは,治験実施計画書で定められた併用薬かどうかの確認、ということだそうです。
さらに、
「支払時に、消費税及び地方消費税の税率を乗じて算出した額を加算する」、という作業も含まれているそうです。
ネットで調べて初めて「ああそういうことなのね」と理解しましたが、文字だけ見ても意味が分かりません。
何と言うか、日本語は極端に言葉足らずだったり、無駄な言葉が盛りだくさんだったりして、意味が分からないことが多いのです。
上記の様な極端な省略形を文字通り英語に置き換えただけの英訳を度々目にしますが、これは禁じ手です。
しかし、日本政府が公開している定訳ですら、日本語をそのまま英語に置き換えただけ、というものが多数あります。
こういう定訳は、「英語ネイティブが使うことはまずないだろう」というポジティブ極まりない想定から英訳が形式上公開されているだけなのかな、とDr. 会社員は思っています。
ただ、万一使われた場合、理解できる人がいるかどうかは、謎です。
「…については」が混乱の元凶
無駄な言葉が盛りだくさんで意味が分からない日本語に話を進めます。
一例を挙げると、日本語には、「…については」が濫用されて意味が分からなくなっている文章が多々あります。
具体例を以下に挙げます。
- なお、事前に提出についての合意が得られている場合は、本用紙も当センターに提出のこと。
- 再提出につきましては、審査結果の発表日から30日以内とします。
上記の両方とも、「ついての」と「つきましては」が入った句があるために、文が分かりにくくなっています。
「提出についての合意」とは?
「再提出につきましては」とは?
「…についての」、「…につきましては」をはじめとする、意味を一切持たない言葉が日本語の文章には頻繁に登場します。
意味のない言葉でボリュームアップした文章に暴露され続けると、記述力が確実に低下します。
和訳を引き受けるなら、洗練された日本語を書けることが必須条件です。
英語から日本語への翻訳で収入を得たいなら、日本語を徹底的に磨くべきです。
英語がいくら読めても、ヘンテコな日本語で和訳を書いたら、商品になりません。
因みに、日本人が訳した英語には「Regarding…,」で始まる文章が非常に多く、この必殺「regarding…」フレーズは、様々なシーンで英語ネイティブを混乱させています。
もちろん、「Regarding…」で文章を始めることは、文法上全く問題ありません。
ただ、このフレーズで文を始めると、何故か違和感のある文に仕上がりやすくなるのです。
実際、Dr. 会社員が日常生活で目にしている限り(Dr. 会社員は英語圏の国に住んでいます)、「Regarding…」で文を始める人は、あまり文章が上手くない傾向があります(あくまでも、主観です)。
まとめ
今回の投稿では、英語の和訳には綺麗な日本語が書けない翻訳者が多数参入している、とDr. 会社員が感じている所以を説明しました。
その一方で、日本語は意思疎通に向いていないといえども、書き手も読み手もよく分からないのが日本語の魅力なのかもしれない、と感じることもあります。
日本語、日本文化とは、「この人何言ってるんだかよく分からないけど、一緒に酒を酌み交わせば万事OK」という言語であり、文化なのかもしれません。
ただ、翻訳となると、ちょっと面倒なことになるのは間違いありません。